「郡」という漢字の基本情報

「郡」という漢字の基本情報

  • 音読み:グン

  • 訓読み:こおり(古訓)、むら

  • 部首:邑(おおざとへん/阝)

  • 画数:10画


◆漢字の成り立ち

「郡」は、古代中国で「行政区画」を表すために生まれた字です。

  • 左側の「君」=もともと統治者・指導者を意味

  • 右側の「邑(おおざと)」=むら・集落

👉 「邑(むら)」を「君」が治めること → 「郡」という字になりました。

つまり、君主が支配する集落のまとまり を表した字です。


◆意味

「郡」には大きく分けて以下の意味があります。

  1. 行政区画

    • 古代中国や日本で用いられた行政区分。

    • 日本では「国 → 郡 → 郷(里)」という区分があった。

  2. むら・集団

    • 村落や群れを意味する。

    • 例:「郡落(ぐんらく)=村々の集まり」

  3. 群と同義の意味

    • 「郡」と「群」は音が同じで、意味も近く、しばしば通用。

    • 「群衆」「郡集」といった表現で「集団」を表す。


◆日本における「郡」の使われ方

古代(律令制時代)

  • 日本は 「国 → 郡 → 里(のち郷)」 という行政区分で統治。

  • 「郡」は地方政治の単位で、中央から派遣された「郡司(ぐんじ)」が治めた。

  • 奈良時代の『大宝律令』(701年)で正式に整備された。

中世〜近世

  • 郡は荘園制や守護の支配の中で形骸化するも、地名として残る。

  • 江戸時代には再び行政区画として使われることもあった。

近代(明治以降)

  • 明治11年(1878):「郡区町村編制法」により、郡役所が置かれた。

  • しかし昭和に入り「郡役所」は廃止。行政単位としての郡は次第に形式的なものに。

  • 現在は「郡」は地名に残るのみ(例:奈良県大和郡山市、群馬県群馬郡 など)。


◆「郡」と「群」の違い

  • 郡(こおり/ぐん) … 行政区画・地名・村のまとまり

  • 群(むれ/ぐん) … 動物や人の集まり

本来は別の字ですが、古代中国では通用し、日本でもしばしば混同されました。


◆「郡」の歴史を感じられる地名

  • 大和郡山市(奈良県) … 大和国の「郡山」が由来。

  • 福島県郡山市 … 陸奥国安積郡の中心にあったため「郡山」。

  • 群馬県(ぐんま) … 郡と馬に由来する地名。

このように「郡」という字は、日本各地の地名に色濃く残っており、古代の行政制度の名残を今に伝えています。


◆まとめ

「郡」という漢字は、君主(君)が邑(むら)を治めることから生まれた字で、古代の行政区画を示す重要な用語でした。日本では律令制下の地方制度に使われ、その後も地名として数多く残っています。

つまり「郡山」という名字や地名は、郡の中心となる山や象徴的な場所 を意味し、その土地の歴史を今に伝えるものなのです。